事業承継事例集

①世代交代に伴い準備をしたい(親族内承継の解決事例)

【相談内容】父親から事業を引き継ぐ予定の子(専務)から、世代交代に伴い事業承継の準備を進めたいが、顧問税理士に相談しても動いてくれない。誰に相談していいのか悩んでいたときに、会社が加入していた保険会社に紹介され、当事務所に依頼された。

【提案】親族内承継では、株価対策だけなく相続対策も必要となるため、税理士とともに顧問契約を締結し、これらの対策を進めながら、月1回程度の経営会議を設け、社員の問題や未回収の売掛金の問題、契約の問題など事業承継に際し障壁となると考えられる問題や課題を洗い出し、その解決策を提案。
また、株主名簿に記載された株主と実際の所有者が一致しない名義株が存在したため、このまま放置すれば税務上の問題が発生するため、本来の出資者に株式の名義を戻すことも提案し、一つ一つ問題点を解消していくことで事業承継を進めていった。

【事業承継後】相談から2年後には、無事、父から子への事業承継が行われるとともに、会社内外部の問題点がクリアにされたことで会社の業績も向上した。


②事業承継後の会社の問題を解決(親族外承継)

【相談内容】取引先の中小企業経営者から、後継者候補として引き抜かれ、親族外承継で会社を引き継いだ現オーナーから、会社経営上の問題点について意見を聞かせてほしいとの相談を受けた。

【問題点】親族外承継では後継者候補者に株式買取のための潤沢な資金を期待できないことから、退職金を支給するなどして株価を下げて、下がった株価で株式の譲渡を行う株価対策を行うことがあるが、本件では、株価対策の名のもとに過大なまでの退職金が前オーナーに拠出されてしまったことから、資金シュートが生じ、会社が大きな負債を抱えてしまっていた。また、会社の主力商品の量産が減少し、数年後には完全にストップすることが決まっていたが、現オーナーはこうした事情を全く聞かされていなかった。

【解決策】抱える問題が多岐に及び、かつ深刻であるため、まずは監査役に就任し、会社内部から会社経営の立て直しを図る。運転資金を調達するとともに、会社及び現オーナーの強みを最大限生かせる企業体制を再構築し、新規取引先を開拓し、あらたな量産案件を受注。また事業承継に反発をしめす取引先も少なからず存在したため、現オーナーとともに取引先を何度も訪れ信頼関係の構築に努めた。さらに従業員のモチベーションを維持するため、従業員との個別面談を重ね、会社の立て直しに尽力いただけるよう粘り強く交渉した。